【ドラフト】素材としては超1級!! ライオンズ4位の羽田慎之介と5位の黒田将矢の徹底解剖

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以下一部敬称略

私が研究し、判明したドラフトの鉄則はいくつか存在する。

例えば野手はドラフト4位まで出ないと主力になる選手は生まれにくい(社会人を除く)こと

他には投手は大学生が一番成功しやすいなどだ。

そんなドラフトの鉄則のうちには「高校生投手は下位で取れ」というものもある。

投手は野手に比べ運が介在する要素が強く、スカウトでもその能力を読み切ることが難しいためだ。

特に高校生となればなおさらであるため高校生投手は下位の投手でも比較的出てきやすい。

例えば

山本由伸・平良海馬・戸郷翔征・二木康太選手などは早いうちから頭角を現し欠かせない1軍戦力となっている。

彼らの活躍ぶりはドラフト1位で指名された高校生投手にも勝るとも劣らないものであり、少し言い方は悪いが高校生投手は「掘り出し物」が最も多い区分になる。

そういう意味では今年のライオンズの指名は大変理論に則ったもので好感が持てた。

特に黒田選手はライオンズが指名したい選手という記事で取り上げていたのでなおさら嬉しいものがあった。

今回はそんな「掘り出し物」になる可能性が高い2名の高校生投手をデータなどを交えつつ紹介する。

試合から分析したデータもあるので是非最後まで見ていってほしい。

※大学時代の成績はドラフトレポート(https://draftrepo.blog.fc2.com/)より
※試合分析における球種は筆者の主観です
※いいところばかりは書いていません ご了承ください


⇩ドラフト理論の記事とライオンズが指名したい選手の記事



羽田慎之介

カタログスペック

・ストレートはMAX149キロ
・変化球は
 スライダー
 カット
 チェンジアップなど
・制球にはやや難が残るが奪三振力はピカイチだった
・191cm87kgと貴重な長身左腕

球速も速く、球種もスライダー・チェンジアップと基本的なものを揃える。

昨秋に左ひじに故障が発生し夏は投げられなかったがその間の体作りが球速アップにつながった。

春は変化球をチェンジアップのみに縛ったうえで3者連続三振を記録。

またこの次の登板で149キロを記録するなど冬の間によく伸びた選手といえるだろう。

投球フォームは長身を生かしたというよりは肘の位置がやや低めなのも特徴。

ちなみにライオンズジュニア出身で実家もメットライフドーム近くという生粋の生え抜き選手。

※羽田選手のケガは肘の骨髄浮腫でいわゆるネズミに近い?
適切な施術をすればあまり問題のないケガの模様

以下参照記事

https://news.yahoo.co.jp/articles/13e6305f51a194dbcf6503b00d9d2e32254ec613
http://www.takaoka-seishikai.jp/sickness/baseball.html

高校時代の成績

前述したように羽田選手は夏は肘のケガで登板できず、春も登板が限られていた。

なので高校時代の成績といっても昨秋のものぐらいしかまともなものがなく、実態はそこまで捉えられていない可能性が高いことはご了承願いたい。

以下が羽田選手の成績になる。

20秋回数被安奪三四死失点
1次2回戦:昭和第一941261
東京1回戦:都富士森841083
2回戦:国士舘高88711
3回戦:日鶴高校961061
合計342239216
21春回数被安奪三四死失点
東京1回戦:小平西高10300
3回戦:専修大附10010
合計20310

21春はほとんど投げられなかったが前述したように3者連続三振を記録。

この登板によりスカウトの人からの評価も大きく上がったと思われる。

20秋も投球回数以上の三振を記録し被安打も抜群に少なかった。

反面与四球は非常に多く、良くも悪くも荒れ球が武器だった投手といえるだろう。

ここ半年ほどの登板記録が見つからないのでなんとも言えないが、プロに入ってからも基本線は荒れ球を武器とした投手になる可能性が高い。

試合分析

ただ成績だけから分析するには限界があるので実際の試合動画から分析していきたい。

しかしながら羽田選手が投げていた試合が少ないため、球種などの分析はできなかった。

そのため打球分析などのみになるが何もないよりかはマシだと思うのでご紹介する。

以下が参照した動画になる。(20秋国士舘戦)

この動画は最終的な結果球のみだが打球管理という面では参考にすることができる。

羽田選手はこの試合で32人の打者を相手にしたが、その打球は

ゴロ    9
バント   3
内野フライ 3
ライナー  2
外野フライ 7
三振    7
四死球   1

という感じでややゴロが多い投球だった。

内野フライも多く力で相手を押し込めていることが見て取れる。

また三振の取り方もかなり特徴的で、右打者を外の変化球で空振り三振に打ち取る機会が多かった。

多分チェンジアップと思われ、右打者の方が得意なタイプなのかもしれない。

将来的なことを考えると与四球が嵩むことはある程度許容できるようにしたいのでもう少しゴロを増やしたいところ。

この試合はゴロ率50%だったが2軍でも60%の数値になるとより良いだろう。

将来像

将来的な選手像としては、ライオンズファンからは名前を言ってはいけない人のようになってしまっている気がするが石井一久現監督が目標になるだろう。

体格も

石井監督 185/100
羽田選手 191/ 87

と大柄な左腕という点で一致しており投球スタイルも三振も四球も多いというスタイルになりそうだからだ。

実際に近年指名されたやや与四球が多い左腕高校生は例えば小笠原(中日)・笠谷(SB)選手などがいるが彼らの成績は

予選成績回数被安奪三四死失点
笠谷(高校)261626136
小笠原(高校)633270296
羽田(高校)362242226
笠谷(2021)5952643530
小笠原(2021)143.11411155160

という感じで三振もしっかりとれるがその分四球も出す投球スタイルのままだ。

なので羽田選手もプロに入ってから劇的に制球が改善するとは考えにくい。

プロに入ってからは最低限の制球力を身に着ける必要はあると思うが、それ以上に三振を奪いまくるスタイルを目指して欲しいところだ。

現代では達成することはかなり難しくなっているが、200奪三振を目指せる投手になってくれればと思う。

黒田将矢

カタログスペック

・ストレートはMAX149キロ
・変化球は
 スライダー
 カーブ
 フォーク
・フォークはスカウトからも高評価
・188cm82kgと体形は細身

球速は速く変化球もスタンダードなものを揃える。

直球も速いが変化球の評価が高い。

特にフォークはスカウトからも高評価でNPB12球団20名のスカウトが足を運んだほど。

入学当初は最速123キロだったものの下半身の強化が実り最速149キロにまで成長するなど伸びしろは抜群。

投球フォームも投げ下ろす形に近く長身を生かした投球スタイル。

参考記事
https://www.nikkansports.com/baseball/highschool/news/202110070000186.html

高校時代の成績

そんな黒田選手の高校時代の成績は以下の通りである。

21夏(背番号1)回数被安奪三四死 失点
2回戦:大湊高校1.11100
準々決:八戸西高6.17603
準決勝:青森山田2.13521
合計10111224

今夏はイニング以上の奪三振を奪い、四死球も10イニング投げ僅か2つと高いクオリティの投球だった。

やや被安打は多く、完投などしたわけではなかったが一定の成果がある投球でアピール。

昨秋は

20秋(背番号1)回数被安奪三四死 失点
2回戦:野辺地西911150
準々決:八戸西高810547

と三振は取れたものの荒っぽい投球だったことを踏まえるとかなり安定したことが伺える。

被打率などよりも奪三振率や与四球率の方がその投手本来の能力を示していることを踏まえると、大変中身のある成長を遂げたといえるだろう。

次の項目では夏の投球を分析し、さらに彼について分析していく。

試合分析

今回参考にする動画は以下の2本になる。

冒頭にも書いているが球種は筆者の勘による分析であること。

またあくまでも今回使用した動画から言えることだけしか分析できないので、完全な黒田選手の分析になっているとは限らないことをご理解願いたい。

https://www.dailymotion.com/video/x82xc7z
https://www.youtube.com/watch?v=jJRj1YI5kdo&ab_channel=%E9%87%8E%E7%90%83R3

それぞれの球質に関しては定量的なデータがないので主観になるが

ストレート:キレは悪くはない 最速は145キロほど(らしい)
スライダー:縦変化のものと横変化の2種類あるように感じた

カーブ:スライダーとほぼ同じ 分ける意味はないかもしれない
フォーク:落ちが鋭く、シュート回転しながら落ちる球は右打者の脅威に

ように見えた。

この2試合を分析した結果は以下の通りである。

配球は直球と変化球で半々。

ストレート
・平均球速はわからなかったが球威は一定のものがあった
・ただし制球はそこまでよいとはいえず、高めに行く場面が大変多かった(約半分が高め)
・高めに行くわりに空振りは奪えておらずキレはあまりよくない可能性が高い

スライダー(カーブ)
・この球が最も安定したカウント球
・縦変化が激しいときとそうでないときとで差がある
・こちらも空振りはそこまで取れずキレが抜群とは言いにくい

フォーク
・黒田選手の最も大きな武器
・高めに抜けることはほとんどなくしっかり低めに制球出来る
・ただしストライクゾーンから落とせる機会はそこまで多くなくストライクを稼ぐには至っていない

全体的にオーソドックスな投球。

ただしフォーク以外は空振りはあまり取れず、まだまだ課題となっている。

特にストレートは高めにうっかり行ってしまうケースが非常に多く、フォークボーラーとしては低めにもう少し制球したいところ。

とはいえフォークの落差は非常に大きく、奪三振マシーンとしての期待も感じさせる内容だった。

筋トレをしっかり行い、速球の出力・威力が上がれば相乗的に相手を抑えられるようになるはずだ。

将来像

将来的な選手像としては高校の先輩の種市選手が丁度良い見本になるはずだ。

奇しくも高校時代の成績や身長・体重、持ち球、指名順位まで非常によく似ており彼のような奪三振マシーンになることが望まれる。

黒田 188/82 スライダー・フォーク ドラフト5位
種市 183/83 スライダー・フォーク ドラフト6位

以下は種市選手の高校時代の成績。

予選回数被安奪三四死失点 
2回戦:八戸高57812
4回戦:三沢高971122
合計14141934

種市選手はケガでここ1年以上1軍で投げれていないのでピンとこない人もいるかもしれない。

ただ種市選手は2019年に23イニング連続三振を記録し日本人記録を保持しており、投げられれば球界でも随一の奪三振マシーンである。

種市(2019) 116.2 8勝2敗 135奪三振(リーグ4位)

彼は3年目、つまりは21歳で上記の記録を打ち立てておりハードルとしては相応に良いだろう。

羽田選手と同じく200奪三振を目指せる選手になってくれればと思う。

まとめ

まとめると2人とも将来的に200奪三振を狙えるような、そんな素質を持っている選手である。

また、2人とも高校時代に急速に伸びたという点も共通しておりお互いをライバル視して伸びていってくれれば幸いだ。

羽田選手は残念ながら1試合を通しての動画がなかったため簡易な分析にとどまったが、黒田選手の分析を見てくれればわかるようにまだまだ物足りない部分も多い(当たり前だが)。

特にストレートに関しては課題が多いように感じた。

なのでもし来年以降2軍を見る機会があれば

・ストレートで空振りを取れているか
・ストレートの球速は150キロ前後出ているか

といったところに注目すると彼らの成長が見て取れて楽しいかもしれない。

彼らは高校生なので今までのようにパワプロ風の能力設定はしないが他の選手と同じように1年目や2年目の目標を立てるとするならば

1年目:体作りを中心に2軍で少し試合に投げる(最速155キロなど出るとよい)
2年目:2軍で少し投げつつ1軍を経験する(できれば先発も)
3年目:大体1軍に定着し100奪三振を記録する

といったところが目標になるだろう。

少し高校生に求めすぎなのではと思うかもしれないが投手の寿命は思っているよりも短い。

27歳で投球のピークを迎えてからは下がり続ける傾向があり、防御率に至っては21~22歳がベストともいわれている。

参照
https://ahoudata.hatenadiary.jp/entry/2017/12/23/002816

それを踏まえるときちんと焦って「2年目から1軍に定着させるんだ」という風に首脳陣も考えておくべきだろう。

もちろんケガをしては元も子もないが野手ほどに悠長には構えずに、本人たちもそれぐらいの気概を持ってプロに入ってくれればと思う。

さて、今回でドラフトでの本指名の紹介は終えることができた。

1月ほどかかってしまったが多くの方に見ていただいたこと、感謝申し上げる。

育成指名の選手3名もまだ残っているので彼らについてももちろん行っていく。

アンケート的には興味を持っていた方は少なかったが、せっかくライオンズに入る選手なので是非次回も見ていただきたい。

また、ドラフト選手の紹介が終わったら次は今季の振り返りや少し変わった考察をしていこうと思う。

シーズン中よりもオフの方が分析しやすいため様々なネタを取り扱おうと思う。

もしよければオフの暇つぶしとしてこのブログを活用していただければ幸いである。

それでは

(^O^)/バイバーイ

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