【考察】ここ数年のライオンズの指名は理論的に正しかったかを検証する

2021年10月2日ライオンズ,考察ドラフト会議,ライオンズ,西武 ドラフト,西武ライオンズ

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以下一部敬称略

シーズンも残り20試合余りとなり、今シーズンの大勢もおおまかに見えるようになってきました。

その中でライオンズは46勝57敗と借金11個を抱えてしまい、現在日本ハムと最下位争いと厳しい現状にいます。

改善しない投手陣もそうですが、2010年代のライオンズを支えた浅村・秋山選手の移籍から打線もリーグでもワーストクラスに落ち込んでしまったことも大きな要因です。

伝統的にライオンズでは彼らのような影響力が大きい選手が抜けた後は若手が台頭することで強豪としての地位を保ってきました。

例:1994 石毛→鈴木健
  1996 清原→高木
  2004 松井→中島
  2008 カブレラ・和田→栗山・中村
  2013 中島→浅村

しかしここ2年はこれといった人材が出てこず、低調なチームの要因となってしまっています。

若手人材を供給するのはドラフトであり、人材がポコポコ生まれてくることでライオンズはドラフト上手と言われてきました。

しかし近年の状況を見ると今までと同じようにドラフト上手と呼べるのかは疑問が残ります。

そこで今回の記事では先日投稿した記事ドラフト理論(https://l-data-daily.com/?p=108)に基づいて近年のライオンズの指名が理論的に正しかったかどうかを検証したいと思います。

※対象はデータの都合上2013年のドラフトからです

ドラフト理論

ドラフト理論の記事を見ていただいた方には2重の情報になってしまいますが「理論」について簡単に説明します。
以下の2つの図を見てください。

(前回の記事を読んだことのある人は飛ばしてください)

これはどの順位でどの属性の選手を指名するといい選手を取りやすいかについて説明した図です。

簡単に覚えていだたきたいのは

①高校生野手は(1位以外)成功しにくい
②下位(5位以下)の野手は社会人以外成功しにくい
③投手は大学生が最も成功しやすい(社会人は3位まで)
④下位の高校生投手は意外と有望で上位は危険

ということです。

この前提を踏まえてライオンズの指名を振り返っていきます。
(振り返るのはデータの都合上2013年からの8年分です・育成は除きます)

ライオンズのドラフトの特徴と現状

まずは指名について振り返っていきましょう。

ここ8年間の指名は大まかに下の図のようになっています。

投手と野手の指名のバランスは

投手59% 野手41% (平均は投手57% 野手は43%)

と平均とほとんど変わらず1・2位で投手、3位以下で野手の指名が多いことがわかります。

各属性ごとに分けると

高校生投手は上位で指名は少ない
大学生投手はまんべんなく
社会人投手はやや下位で
高校生野手は下位で(特に4位で)
大学生野手はまんべんなく
社会人野手は下位でそもそも少ない


という指名傾向をしていることがわかります。

また、外野手の指名が高校生に偏っていることもわかります。


次にドラフトによってどのポジションが強みになっているのか、弱みになっているのかを見ていきます。

不幸なことに今年のライオンズはほとんど外国人選手がプラスになっておらず、チーム戦力図がほとんどドラフトで補強した戦力になります。

このことからチーム戦力図≒ドラフトで成功・失敗したポジションと見ることができます。

そんなチーム戦力図は以下の図のようになっています。

(図はhttps://l-data-daily.com/?p=154と同じです)

強みは捕手と内野

弱みは投手と外野

とはっきりわかります。

つまりドラフトが
成功しているのは捕手・内野
失敗しているのは投手・外野
 と考えていいでしょう。

理論との比較

それでは先程分かったチームのドラフトの傾向とチーム状態を理論と絡めていこうと思います。

まずは成功しているポジションについて見ていきます。

ライオンズの成功したポジションは捕手と内野ですが、その指名の内訳は

捕手(主力は黒字)
高校生2人(森(1位)・牧野(5位))
社会人2人(岡田(6位)・柘植(5位))

内野手
高校生5人(金子(4位)・山田(5位)・綱島(5位)・川野(4位)・山村(3位))
大学生6人(山川(2位)・外崎(3位)・呉(7位)・佐藤(7位)・渡部(1位)・ブランドン(6位))
社会人2人(源田(3位)・山野辺(3位))

となっています。

捕手は1位で獲得した森選手がリーグ最高クラスの選手に成長。

社会人で獲得した2人も標準的な守備に加えバント職人・優れた打撃を駆使し1軍の主力になっています。

1位で高校生の主力を、下位で与力としたい選手を社会人で獲得する極めて理論的にも100点満点な指名ができています。

ただし森選手のFAもあることからそろそろ1位クラスの主力の指名が求められるところです。


内野手は3位までに獲得した4人のうち3人が主力に成長(渡部・山村選手は1年目なので除く)。

他の主力である呉・山田選手はややユーティリティ的な起用ができることを武器に1軍に定着しました。

理論的にチームの主力は4位までの選手がなることが多く、きちんと3位までに成功率が高い大学生・社会人選手を獲得することでうまくチームの強みにすることができています。

呉・山田選手といったユーティリティプレイヤーも下位から排出することで今年の山川・外崎選手の離脱のダメージを最小限に抑えることに成功しました。

ただし成功率が極めて低い高校生野手を4位以下で獲得することも多く、現在主力の高齢化が目立っている現状を考慮すると少し指名しすぎとも言えます。

逆に成功率が高めな社会人野手の指名が少なく、これが戦力層の薄さにつながっている可能性が高いです。

そのため理論的な評価としては80点ほどと言えます。

昨年渡部・山村選手を1・3位で指名しましたが主力より下の選手があまり育っていない現状も考えるともう1人大学生以下の野手の供給と下位でいいので社会人野手の供給が欲しいところです。

それでは次に失敗しているポジションを見ていきます。

まず投手ですが、その指名の内訳は

先発 (主力は黒字)
高校生 4人(高橋(1位)今井(1位)・渡邉(2位)・井上(6位))
大学生 4人(多和田(1位)・本田(6位)・與座(6位)・松本(1位))
社会人 2人(浜屋(2位)・佐々木(2位))
独 立 4人(上間(7位))

救援(川越選手は外野判定・玉村選手はその経歴から独立判定)
高校生 2人(藤田(9位)・平良(4位))
大学生 8人(福倉(7位)・佐野(2位)・国場(8位)・中塚(2位)・田村(6位)・斎藤(1位)・粟津(4位)・大曲(5位))
社会人 8人(豊田(3位)・山口(5位)・野田(3位)・南川(5位)・平井(5位)・森脇(5位)・宮川(1位))
独 立 4人(玉村(4位)・松本(10位)・伊藤(3位)・松岡(3位))

となっています。

高校生は上位指名が多いこともありますが主力がうまく育っています。

対して独自路線ともいえる独立リーグの指名はあまりうまくいっておらず、大学生に至っては1位と2位で最も指名しているにもかかわらず松本選手以外定着ができていません。

また社会人も1位から3位までの指名が多いにもかかわらず定着しているのは5位指名の平井・森脇選手と上位指名選手が期待外れと言える事態になっています。

ただ下位での高校生の指名は少ない以外は理論に沿っており80点は上げられる指名なのですが…。

理論的に言えばこれほどまでに大学生や社会人が定着しないのは異常事態と言えます。

本来なら大学・社会人の中からあと2人は他の球団では出てくる計算になるのですが大変残念な結果となっています。

この乖離の要因は気になるところですがそれはまた後で考察します。


次に外野手について見ていきます。

外野 (主力は黒字・川越選手は転向の時期も含め社会人判定)
高校生 4人(愛斗(4位)・鈴木(4位)・西川(2位)・仲三河(7位))
大学生 1人(若林(4位))
社会人 1人(川越(2位))
独 立 1人(岸(8位))

外野は明らかに高校生の指名が多く、しかも成功しやすい1位指名クラスではなく4位以下の指名が75%と正直言って今の悲惨な外野陣になる理由の一端になっているといっていいでしょう。

大学生以上の純正な外野手は近年取った2018年の岸選手と2020年の若林選手のみで2013年から2017年の5年間は1人も指名していません。

本来ならばこの5年間で2人は指名するべきでした。

秋山・栗山・金子選手がいたとはいえ外野はライトが大穴として存在していたこと、栗山選手の年齢が30歳を超え脚の衰えが見られることから指名する需要は十分にあったといえます。

理論的には10点の指名です。
ロマンを求めすぎたといってもいいでしょう。
栗山巧(高卒4位)はそう簡単には生まれないということです

高校生野手がそろそろ芽が生えてくる時期とはいえここ2年程大穴しかなかった外野でなかなか定着できなかった現状を鑑みると戦力になりやすい大学生・社会人選手は指名したいところです。

まとめ

まとめるとライオンズの指名は

投 手:理論的にはよかったがスカウトor育成がよくなかった
捕 手:理論的で実際にも大きな強みに
内野手:理論的な指名ができていたが近年はできていない
外野手:理論的な指名ができておらず高校生の指名が多すぎた

と言えます。

投手のスカウティング・育成が悪く、野手の指名がやや窮屈になっている面はもちろんあります。
しかし2017年から2019年の間にもう少し大学生・社会人野手を指名していなかったことが今の野手陣の不足につながっているとも言えます。

もう少し現実的な戦力を求めるドラフトを2010年代前半にできていたように今後はやっていきたいところです。

また記事の中で少し触れた投手のスカウティングですがこれはまた後日考察してみようと思います。

書きました!! もしよければ見てみてくださいね。
https://l-data-daily.com/?p=440


それでは(^O^)/バイバーイ



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