松井監督休養決定! 改めて松井采配を振り返ると同時に渡辺GM兼任監督の采配、そして今後のチームを考察する

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※記事は5/26終了時点のデータに基づいて作成されています。



15勝30敗勝率.333

それが2024/5/26時点での西武ライオンズの成績です。

しかも最大の貯金3があった4/7以降の成績を書き出すと

9勝27敗勝率.250

と本当にプロ野球の球団なのか疑ってしまうような成績となってしまっています。

この低迷を受け球団は松井監督の休養を決定

新たに渡辺GM兼任監督が誕生する事となりました


2018年にライオンズに復帰しそのまま首脳陣入り。

ライオンズどころか球史に名を残した名プレイヤーの監督業はまさかの途中休養となってしまいました。

これには我々ファンとしても

いつもファンを癒やしてくれる看板猫?のべるーにゃも

松井監督を引っ張り今回代役として監督業を務める渡辺GMも

松井監督を支えてきたコーチ達も

そして何より松井監督自身が無念であることでしょう


ただ決まってしまったものは仕方ありません。

我々ファンにできることは在任中の順位を142322位と安定した成績を残した渡辺監督を応援するのみです。

しかしそんな起爆剤となって欲しい渡辺監督ですが実際にチームを浮上させることはできるのでしょうか?

今期の不振は松井監督によるものというよりは戦力がそもそも足りていないと解釈されることのほうが多く感じます。


そこで今回は数値で見れるところは徹底的に数値で観測することで

・本当のチーム状況

・松井監督の采配の是非

・過去の事例

を検証し、同時に渡辺兼任監督による巻き返しの可能性について考察していきたいと思います。

歴代でも2番目の勝率の低さ

一応お忙しい方ようにまとめると

まとめ

・西武は本当に弱かった

・弱い原因の半分以上は戦力でそこからさらに半分は運

・采配による影響は思っているよりも小さい

・反撃できたチームは元の戦力・主力の不調・抜擢・補強が絡んでいた

・現状できることは抜擢と補強のみ

・現実的には最終的に勝率.400前後が目安になりそう

本当に弱かったのか

まずは本当に弱かったのかを確認していきます。

「いや、勝率.333しかないんだから弱くて当然じゃん」

と思うかもしれませんが大前提の確認は非常に大切なのでお付き合いください。

得失点差から見る戦力

まずは得失点差から見ていきます。

なぜ得失点差から見るのかというと野球には

公認野球規則1.05
各チームは、相手チームより多くの得点を記録して、勝つことを目的とする。

という規則があり

相手チームよりも多く得点することで勝利を目指すスポーツです。

そのため得失点差がプラスであるほど貯金は増え、逆にマイナスであるほど借金が増えるという性質があります。

実際に得失点差と貯金の関係をまとめたものが以下の画像のようになっており

https://ranzankeikoku.blog.fc2.com/blog-entry-4549.html より引用

かなり高い相関性を持っていることがわかります。

このため今は借金15個と非常に苦しい戦いとなっていますが

得失点差次第では巻き返しが期待できるということです。


では実際得失点差はどのようになっているのでしょうか。

実際に見てみると

https://sports.yahoo.co.jp/ より引用

得点118点 失点167点 得失点差-49点

得失点差を4~5で割ると貯金数に一致するという法則があります。

今年はおおよそ4.3で割るのが適切なので4.3で割ってみると

推定借金11.4個

となることがわかりました。

現実では借金が15個ですから少し負けすぎているということが判明しました。

仮に借金が11個になるとすると

17勝29敗 勝率.370

となり

「少し過大に負けているがそれでも最下位なのは変わらない」

という結論が導き出せます。

ここまで見てきた人の中にはなぜ4.3で割るのか疑問に思った方もいると思います。

というより得失点差と貯金の関係から割るのはわかるが4~5と幅がある理由がわからないかもしれません。

簡潔に理由を述べると4~5と幅があるのは各シーズンによって得点の価値が異なるためです。

得点が多いほど勝利というのは手に入りやすくなります。

得失点差10点で1勝というのが定番です。

しかし例えば今年のように得点が入りにくい環境であれば1点の価値が大きくなります。

逆に2004年のようにラビットボールと言われる飛ぶボールのときは得点が多く入る環境では1点の価値は相対的に小さくなります。

このようにシーズンによって1点の価値が変わると勝利を獲得するために必要な得失点数も変化。

今年のように打低なら1点の価値が大きいため1勝に必要な得点数は8.55点と小さくなります。

貯金は1勝増えると2個増えるので8.55を2で割って見やすい数字である4.3点が今年の貯金数と得失点差の関係を結びつける数値となるのです。

気になる方は自分の説明なんかよりよっぽどわかりやすいので以下のサイトをおすすめします。

Baseball Concrete

https://baseballconcrete.web.fc2.com/alacarte/converting_runs_into_wins.html

セイバーメトリクスから見る戦力

前述の得失点差から戦力がやっぱり足りていないことがわかりました。

では次にどの部分において戦力が足りなかったのかを確認していきます。

分析項目としては

「投手・打撃・守備・走塁」

の4部門でどこでマイナスを出しているかを確認します。

それぞれ使う指標はFIP・wRAA・UZR・UBR/wSBです。

よくわからない方も多いと思いますが適当にいい感じな指標を使っていると思ってくれて大丈夫です。

一応下に解説は乗せておきます。

①FIP

守備の影響を取り除いた防御率のようなもの。

また投手本来の実力を示すという点でも防御率より優れており、翌年の成績との相関性も防御率より高いです。

先発投手の翌年の成績との相関

②wRAA

打撃内容をより詳細に得点化し実際に何点その選手が平均よりも増やしたのかを測る指標。

例)
ヒットの得点価値は約0.7点ということがわかっています。

仮に50打数で打率.300と.200の選手がいた場合ヒット数は15本と10本と5本の差があります。

得点価値は0.7点なので0.7×5で3.5点分.300の選手が貢献したということが言えるのです。

③UZR

守備で防いだ失点を数値化した指標。

UZR+5点の選手は5点失点を阻止したと言えます。

④UBR&wSB

UBRが走塁で稼いだ得点、wSBが盗塁で稼いだ得点。

例えば他の走者よりも多く2塁からヒットで生還できるとUBRはプラスになります。

盗塁は成功すると0.2点、失敗すると-0.4点の得点価値があるのでそこから計算されます。

ポイントはすべて得点に換算ができるということで得失点差や4.3で割った貯金数に変換できるというところです。

では実際セイバーメトリクスで見る弱点はどこにあるのでしょうか?


おそらく皆さんの想像の通り打撃で圧倒的なマイナスを記録。

投球も最低クラスな内容でかなり大きなマイナスを記録してしまっています。

また2017年の源田選手の加入以降ずっとプラスだった守備がついにマイナスに転落。

何の強みもチームになってしまっていることがわかります。

この4項目の合計は-44点とほとんど得失点差通りでこちらでの推定借金は10個。

推定

17勝27敗.386(1分け)

と勝率にして.386と4割に届かない苦しい数値であることが詳細な分析からも判明しました。

松井監督の采配に問題はあったのか

上記の分析から

実際の勝敗と勝率は

15勝30敗.333

得失点差から推定される勝率は

17勝28敗.370

セイバーメトリクスから推定される勝率は

17勝27敗.386(1分け)

ということがわかりました。

これを見て推定より低い勝率を出している松井監督の采配は悪かったと思うかもしれません。

もしくは中継ぎが失点率が5.53と崩壊しているからだと思うかもしれません。

次はそれらの疑問について

また代打若林など目についた采配についてどれほど影響があったのか見ていきます。

貯金と得失点差などの乖離における監督の影響

まず端的に言いましょう。

乖離において監督の影響は

ほとんどない

というのが私の結論です。

https://ranzankeikoku.blog.fc2.com/blog-entry-2150.html より引用

上は2年連続で同じ監督を務めたチームの得失点から予想される勝率と実際の勝率の差をある年とその前年で比較したものです。

見る限りR2値は0.0115とまるで相関はないことから

得失点差よりも実際に勝つor負けるというのには監督の影響はほぼほぼない

ということがわかります。


推定される勝率よりも実際の勝率が低くなるチームは接戦で負けることがチームです。

実際に今年のライオンズも

1点差ゲーム 7勝16敗

とかなり負け越しています。

しかしこの接戦で強いチームというのも一貫性がありません。

https://ranzankeikoku.blog.fc2.com/blog-entry-4549.html より引用

上の図は

「もし本当に接戦に強いチームがあるならそれはランダムに試合を取っても一貫性が見えるはず」

という仮定から偶数番目の試合と奇数番目の試合を抽出し接戦での勝率を比較したものです。

この図から分かる通りそれはほぼ一貫性がなく、したがって

「接戦に強い(弱い)チームというのは恐らくだが存在しない」

ということが結論として言えます。


つまるところ

確かに松井監督のもと借金は4~5個推定よりも多かったがそれは監督の影響やチームの性質によるものではない。

言い換えてしまえば運によるもの

ということです。

もちろん松井監督が特殊能力を持っていることを否定はできません。

ですが積極的に肯定できるものが全くと言っていいほどない以上自分はこの点で批判することはおすすめしません。

このため監督交代などはなくても勝率.400近くまで回復していた可能性は十分に考えられます。


では次からは細かい采配について、特に批判が多いと見られるものについて議論していきます。

中継ぎ松本航の是非

まずは松本航選手の中継ぎ起用です。

前述の通り中継ぎの失点率は5.53と崩壊していることから松本選手を中継ぎとして起用していました。

しかしその松本選手の中継ぎ成績も

5登板5回6三振4四球防御率3.60

と振るわず彼が中継ぎに回っている間に投げた投手が

5/10 青山 4.2回3失点

5/18 渡邊 6回1失点(三振1四死球7)

5/25 渡邊 5回3失点

とあまり振るわなかったことからそこを松本選手が投げていれば…

とは思います。


では実際どれほど影響があったのでしょうか?

松本選手は先発の際、控え選手と比べ

1イニングあたり0.11点失点を防いでおり

中継ぎの際は

1イニングあたり-0.2点失点を防いでいました。


先発では素直に青山選手、渡邊選手2回分のイニングを埋め

救援では代わりに佐藤・アブレイユ選手が投げるとします。

佐藤・アブレイユ選手である理由は彼らが救援の中で最も内容がいいからです。

また松本選手はもっとイニングを投げれるのではないか

という指摘もあるかもしれませんが松本選手のキャリア通算での平均投球回は6回未満です。

このため松本選手が今年のように平均7回を投げるというのは上揺れである可能性が高いと判断しました。

彼らの投球回をそのまま合算しても平均6回以上となるのでそれなりに妥当だと考えます。

そもそも上の計算も松本選手にとって都合の良い数値を使用しています。

守備に依存しない投球指標というのは大まかに

FIP、xFIP、tRA

とありますが松本選手はそれぞれ先発時代

FIP 3.43

xFIP 3.85

tRA 3.19

とtRAが最も低く上の算出もtRAを使って行っているからです。

もしFIPやxFIPを使えば落ちますしキャリア通算でも今年の松本選手のFIPは良いほうで好調である

言い換えれば今後落ちる可能性が高いものです。

それを今年の好調な(都合の良いとも言う)数値を使っている2重に都合の良い数値です。


では見ていきます。

青山・渡邊選手の先発では控え選手と比べ

1イニングあたり-0.01点失点を防ぎ

佐藤・アブレイユ選手の救援登板は

1イニングあたり0.08点失点を防ぎます。


つまり先発では

15.2*(0.11-(-0.01))=1.88点

救援では

5*(0.08-(-0.20))=1.4点

合計約3.3点

つまり松本選手を救援にすることで

おおよそ3.3点分損をした

ということが言えそうです。

若林楽人の起用

続いて若林選手の起用について見ていきます。

かなり贔屓的な起用をされていたと言われる彼ですが実際成績は

63打席.136 3HR OPS.452

と悲惨な成績でした。

その分を現在

91打席.272 3HR OPS.762

と非常に好調な岸潤一郎選手に回していたら…

とは確かに思います。


では実際に若林選手ではなく岸選手を完全に固定して起用していた場合どれほど得点は増えたのでしょうか?

岸選手と若林選手の1打席あたりの得点生産能力にはおおよそ0.11点差があります。

このため63打席ある若林選手の打席がすべて岸選手になった場合

0.11*63=6.93点

約7点ほど増えた計算になります。

つまり若林選手を使いすぎたため

7点ほど損をした

ということが言えるかもしれません。

古賀→代打若林

最後にかなりXでも話題になっていた「代打若林」、特に古賀選手に対するものがどれだけ影響があったか見ていきます。

古賀選手と若林選手の間の得点生産能力の差は0.1点ほどあります。

このため「代打若林」をすることによる得点の減少は0.1点ほどと予想されます。

正直かなりキャッチーな、悪い印象を持つ采配でしたがその影響はかなり小さいもの

と言っても差し支えはないように思います。

※ちなみに得点生産能力ってなんだ?

と疑問に思った方は以下のサイトを参照してみてください。

wOBAについて

wOBAはそれぞれ

岸岸.348
古賀.335
若林.188 です。

各采配をまとめる

ここまででまとめると

各采配のまとめ

・得失点差との乖離は運

・中継ぎ松本航の影響は3.3点の失点増加

・若林選手の分の打席を岸選手に渡した場合7点の得点増加

・代打若林は0.1点の得点減少

ということがわかりました。

実数になっているところを合計すると

10.3点

が松井監督によって失われた得失点差と言えます。


ただこれはかなり都合の良い仮定に基づいて10点ということです。

・松本選手が先発のときとずっと同じ内容で投げる

・若林選手の打席をすべて岸選手に置き換えている

・岸選手の打撃がそのままであることを仮定している

簡単に見てもこれほど差が生まれやすい仮定を持ってしても10点が限度といえます。


10.3点を貯金数に変換すると2.4個。

得失点差との差異は貯金数にして5個なので5個は運と考えます。

つまり借金15個の内訳は

運で5個

采配2.4個

その他で7.6個

と言えその他は戦力と言い換えていいでしょう。


つまり元々

19勝26敗 勝率.422

だったチームが采配によって

18勝27敗 勝率.400

となりさらに運の悪さで

15勝30敗 勝率.333

と考えることが出来ます。


ざっくりな比を出すと

運:采配:戦力=2:1:3

でありやはり戦力がもっとも比重が大きく次に運。

目に見える采配をかなり都合よく監督にとって不利な条件にしてももっとも比率は低いということが結論となります。

もちろん選手が本来の力を発揮できなかった

ということも考えられますしそれが監督の風土によるものである可能性もあるでしょう。

しかしやはり個人的には

「戦力の不足についで運もなかったこと」

が今の苦境の最も大きな原因と考えます。

渡辺GM兼任監督の采配の特徴

ここまでチームの状態について細かく見てきました。

そしてそもそも戦力がなく運もないことから今のチーム状態になっていることがわかりました。

次に議論したいのはそんなチームを渡辺監督がどのように運営をするかです。

ここからは渡辺監督が過去に監督をしてきた際の采配の特徴からどのようなことが想定されるのかを考えていきます。

若い打者の抜擢

まず考えつくのが若い選手の抜擢です。

渡辺GMが前回監督を行った2008~2013年の打者の平均年齢は以下のようになります。

見て分かる通り基本リーグ平均よりも若い選手を抜擢する傾向があります。

これはもちろん当時若い戦力として

片岡・栗山・中島・中村・浅村・秋山・炭谷

などの優秀な人材がいたことも理由ではありますがそれ以外でも

坂田・原・金子ら控えが多かった選手も若いメンバーを起用していたからでしょう。


現在2024年の西武の平均年齢は

29.5歳

と2008~2013年の間と比べるとどの年よりも高く若いメンバーで戦っているとは言いにくい状況です。

源田・外崎選手はともかく炭谷・中村・栗山・金子選手などがそれなりに打席を積んでいます。

もちろん戦力の都合上仕方のないことではありますが、もし渡辺監督の色を出すならここかなと思います。

・捕手をほとんど古賀選手に固定する

・外野手で岸・蛭間選手を固定する

・平沼選手をもっと積極的に起用する

・指名打者で上述した古賀・岸・蛭間選手など現状打力に優れた選手を起用する

などです。

若い選手を起用する、それすなわち良いということは出来ません。

しかし現状打力に優れた選手、平均より打っている選手は

岸・蛭間・古賀・中村・平沼

と若い選手が多く彼らの抜擢に期待がかかります。

先発投手の長い回の起用

続いて行いそうなことは先発投手を長い回引っ張ることです。

2008~2013年の先発の平均投球回数は

平均投球回リーグ内順位
20086.024
20096.322
20105.982
20116.382
20126.004
20136.031
合計6.122

と1位になることは少なかったですがリーグ内順位は高いところで安定。

5位以下になることもなく基本的に先発に長い回を投げてもらう傾向が強い監督と言えるでしょう。

現状の西武は先発平均投球回は既に

6.35と12球団の中で圧倒的にトップ(2位はソフトバンクの6.23)

このため今シーズンは基本的に先発が長い回を投げるシーンが多くなるでしょう。

過去の巻き返し事例と今年との対比

ではそんな渡辺監督の采配でライオンズは巻き返すことができるのでしょうか?

ここでは過去に現在のライオンズと同じような状況から巻き返したチームについて紹介。

なぜ巻き返すことが出来たのかを考察していきます。

2016年西武

実は2016年の西武も交流戦中盤から約2ヶ月絶望的なまでに苦戦していました。

「サヨナラコリジョン」と言われた6/14の広島戦でのサヨナラ負けから8/7まで、

11勝30敗 勝率.244 全カード勝ち越しなし

とその時のことは思い出すのも苦痛なほど負けまくっていました。

しかし8/9~8/11のカードで勝ち越すと今度は一転

24勝15敗 勝率.615

と対称的なまでに勝ち進んでいきました。


ではなぜこのような巻き返しが出来たのでしょうか?

要因の一つはやはりそもそもの戦力です。

2015年・2016年のチーム戦力を書き出すと以下の通りになります。


それぞれ合計

2015 +57

2016 +48

と五分以上に戦う能力は十二分に持っていました。

もちろん連敗中はマイナスになっていたと思われますが基礎的な力は今年より圧倒的にあった

そう言っていいでしょう。


ちなみに2023年は以下の通りです。

合計は-76

2015年と比べると圧倒的に弱くさらに今年は

・補強どころかFAで引き抜きにあい

・優良助っ人外国人選手を切って現状打ってない外国人選手に置き換え

と悪いことばかりが起きているので

反撃どころか現状の苦戦ぐあいのほうがよっぽど妥当でしょう。

2010年ヤクルト

では2010年のヤクルトはどうでしょうか?

2010年のヤクルトは5月末まで

14勝33敗 勝率.298

となんなら今年の西武よりも絶望的なチーム状況から

6月以降

58勝35敗 勝率.624

と猛烈な反撃を行い貯金を作ることさえ成功しました。

ちなみにこの反撃は

「メークミルミル」と呼ばれています。

このときも監督交代が行われ高田繁監督から小川淳司ヘッドコーチへと権限が移行されました。

また前年の2009年はAクラスに入ったとはいえ得失点差は-58とかなり悪い成績でした。

状況としては現在の西武と非常に酷似しています。


ではどのようにしてヤクルトはこの状況を立て直していったのでしょうか?

まずはディフェンス面を見ていきます。

この年のヤクルトの失点率は

5月まで 4.35

6月以降 4.33

とほとんど変化がありません。

では得点はどうでしょうか?

5月まで 3.24

6月以降 4.82

驚くべきことに6月以降の得点力は5月までの1.5倍となっています。


なぜこれほどまでに得点力がアップしたのでしょうか?
また逆に言えばなぜ5月までは点が取れなかったのでしょうか?

その理由は概ね2点考えられます。

①主力選手の同時多発的不調

月間成績を見る限り3~5月、特に5月は特に貧打に苦しんでいた様子が見て取れます(平均2.65点)。

主要選手の5月のOPSを書き出すと

選手名5月OPSその年のOPS前年のOPS
青木.597.944.844
相川.767.759.625
デントナ.630.771.813
ガイエル.741.768.900
宮本.505.675.719
田中.516.748.665
飯原.562.786.709

という形でほぼ全員が不調に直面。

相川選手を除き全員がその年のOPS、引いては昨年のOPSよりも低い数値を記録していました。

2010年は2009年よりも打高であったにも関わらずです。

つまり打てる実力はあったが発揮しきれなかったため5月まで、特に5月は得点が取れなかったのです。


②畠山・ホワイトセル選手の抜擢

また主力選手の改善だけではありません。

ヤクルトは6月以降畠山・ホワイトセル選手の抜擢がうまくハマりました。

2人の打撃は

畠山 OPS.931

ホワイトセル OPS.991

と抜群の成績でチームを牽引。

特にホワイトセル選手は6月初頭に獲得しました。

同じファーストを守っていたデントナ選手がいたにも関わらずです。

畠山選手は2年前の2008年にレギュラーを掴んだ実績がありますがそれも内野でのことでした。

しかし2010年は後半戦からレフトに起用する勇気のある決断をしました。

それまで内野しか1軍では守ったことがなかったにも関わらず。


つまり2010年のヤクルトは

大幅な得点力アップ

をすることで6月以降素晴らしい戦いを演じた。

その大幅な得点力アップは

・畠山選手の抜擢

・主力の復調

・ホワイトセル選手の活躍

によってもたらされたと言えるでしょう。

2024年の西武ができること

ここまでをまとめると反撃ができたチームは

反撃ができたチームの特徴まとめ

・そもそも戦力があった

・主力がそもそも力を発揮できていなかった

・打力に優れた選手を守備を恐れず抜擢した

・ポジション被りを気にせず補強を行った

ということがわかりました。

ロールモデルとしては

・そもそも戦力があった

は前述の通り2023年の時点で戦力がなかったので真似が出来ないのでスルーします。


なので残り3つを検討するべきと言えます。

・主力がそもそも力を発揮できていなかった

これはどうでしょうか?

同じように昨年も西武に所属した主力選手の現段階での成績はwRC+で見ると(50打席以上)

※wRC+…打力を示したもの。100を超えれば平均以上

選手名今年のwRC+昨年のwRC+
外崎 96119
源田 86 80
佐藤 90153
中村115149
金子 84 44
古賀134 77
144 62
平沼102 92
若林 14 74
長谷川 37 82
蛭間137 87

昨年から大幅にwRC+を改善させている選手が

金子・古賀・岸・蛭間選手の4人

悪化している選手が

外崎・佐藤・中村・若林・長谷川選手の5人

となります。

つまり別に同時多発的に不調になっているわけではなくいい選手も悪い選手もいて打てていない

ということです。

このため主力が力を発揮できていないとは考えにくいでしょう。


では
・打力に優れた選手を守備を恐れず抜擢

はどうでしょうか?

現状打力に優れているのは

古賀・岸・蛭間選手の3選手で彼らをもっと積極的に起用する

というのも手ではあります。

しかし現状彼らはポジション的に溢れているわけではありません。


なので他の選手を考えるわけですがここで候補になりそうなのが

ブランドン・渡部・佐藤選手らサードを守る選手達です。

ブランドン選手は怪我のためまだ2軍でも打席に立てていませんが

渡部選手は2軍でOPS.864と平均OPSよりも.200ポイントも上です。

また佐藤選手も

ボール球スイング率は12球団中6番目に低く(100打席以上)

空振り率も7.2%と平均よりも2%以上も低い素晴らしいアプローチ。

Hard%も34.3%と平均より高くまだまだ打てる気配があります。

彼らを無理にでも外野をやらせるなどで打開を図っても良いのかもしれません。

他にも2軍に落ちて以降打率.520 と暴れている長谷川選手も候補になります。


では最後に

・ポジション被りを気にせず補強を行う

はどうでしょうか?

渡辺GMの発言によると

 ――GM兼任として今後の補強は。  

「育成からは前々から数人考えている。候補もいる。新たな外国人やトレードで決まっているものはない」

https://news.yahoo.co.jp/articles/6caa426e8017c231c6b4c5639e1a4b5193d3b4ec

とのことで明確な事は言えませんが

考えていないことはない

ぐらいには見えます。

育成選手は順調なら菅井・森脇選手が候補ですが他は明確にいる感じはしませんからやはり

外国人かトレードはやってほしい

というか少しでも反撃したいならやるべきです。

ホワイトセル選手ほどの選手を捕まえることは至難の業ですがそれでもやらないとどうにもなりません。


最初に述べた2つは渡辺監督ではどうしようもないですが抜擢と補強に関してはまだできることがあります。

特にGM兼任監督なため補強から起用までの流れはかなりスムーズにできるでしょう。

渡辺監督は前述した通り若い選手の起用に定評がありますから抜擢し、そして補強をしてくれれば現状ではベストと言えるでしょう。

渡辺GM兼任監督に期待すること

・戦力もなく同時多発的な不調に襲われているわけではないのは仕方がない

・渡辺監督らしい男気のある抜擢で打力アップ

・戦力がないのは目に見えているし前例があるのだからポジションに気にせず補強を

今後の展望と願望

ここまで長々と松井監督の采配の是非から渡辺監督の采配と今後やってほしいことまでまとめて来ましたがいかがだったでしょうか?

少しでもなにかの参考になった、楽しめたのなら嬉しい限りです。

最後に今後の勝敗について書いていくと

まず普通に采配をしていれば運の収束もあり勝率.400前後に落ち着くのではと考えています。

書いた通り借金が5個ほど余計という分析がありますからね。

最終的には

55~60勝 83~88敗 勝率.385~419

交流戦からだと

40~45勝 53~58敗 勝率.408~459

ぐらいになるのではと予想します。


現状戦力が足りていないという話はさんざんしてきましたが伸びしろが全く無いわけでもないです。

チームのBABIP(フィールドに飛んだ打球がヒットになる割合)が現状かなり低いのです。

今は.256で過去10年最も低かったチームでも.274あります。

たかだか差は0.018ですがBABIPの分母は1000以上あるため既に20本ヒットを損している可能性があります。

※もっとも2024西武が異次元にヒットを打つ能力が低い可能性もありますが…

ですが確率論的にはほぼほぼ起こり得ない数値なのである程度改善される可能性はかなり高いと思います。

20本のヒットを損しているとするとおおよそ14点損することになるので貯金3個分損をしていたかもしれません。

もちろんそれを加味しても勝率は.422しかないので褒められるわけではありませんがまだどうとでもなるかなと思います。

そういったさらなる運の悪さの収束に加え渡辺監督による空気の入れ替えによりチームの雰囲気の変化。

これらによって交流戦以降5分以上に戦える可能性はある程度はあるのではと考えますし

本当に願望を言っていいならここから「メークミルミル」のように勝ってAクラスに進出。

16年ぶりの日本一を目指してほしいと本気で思っています。




最後のここまで見てくれた方、本当にありがとうございます。

松井監督の休養とそれに際しての渡辺GMの監督就任について思うところはデータを絡め全部言えました。

今のチーム状態は本当に悲しいしまだまだこんなものじゃない

というかこんなものであってほしくない。

だからこうして欲しいというのはなんとか述べることが出来たんじゃないかなと思います。

少しでもなにかの糧になったのなら嬉しく思います。


また5/28西武対中日の渡辺GMの初戦をライブ配信しながら色々と喋っていこうと思います。

よければ遊びに来てください~(17:45~)

https://youtube.com/live/wr1ptZ1sb8g?feature=share

また松井監督の休養から約2日間のあいだ10時間かけて書いたので感想とかでねぎらってくれると嬉しかったり笑

下のサイトでお待ちしてます。

また

マシュマロ
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ではではまた次回会いましょう~~

データは

https://1point02.jp/op/index.aspx

https://nf3.sakura.ne.jp/index.html

より引用しています。