【考察】42年ぶりの最下位 ライオンズが2021オフにすべき3つのこと

2022年5月8日ライオンズ,考察データ分析,ライオンズ,埼玉西武ライオンズ,西武ライオンズ

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2022/5/8 計算ミスがわかったため訂正

以下一部敬称略

10月30日、日本ハムの勝利によりライオンズの42年ぶりの最下位が確定した。

勝率は.440

最下位のチームにしてはそこまで低くはないが、ライオンズとして考えると前回最下位だった1979年以来の低さだった。

得失点差も-68とリーグ最下位で「運が悪く最下位だった」わけではなく、実力が純粋に足りていなかった形だ。

実は昨年も3位に入ったとはいえ得失点差はリーグ最下位でチーム力は最低だったのが今年は露呈した形だ。

もはやパリーグの中で最下位である戦力にあることは疑いなく、補強は絶対に必要な危機的状況にある。

幸いにもドラフトでは1位クラスと評される即戦力左腕を2人獲得に成功。

補強としては1歩前進した形だがまだまだ補強としては全く物足りない。

そこで今回の記事ではライオンズが今年中にするべき補強について考察していきたいと思う。

そして皆さんにはオフの注目点がどこなのかということを伝えていければと思う。

※真面目に何とかしてほしいと思っているので語気が強いところがあるかもしれません。
 不快感じましたら申し訳ありません。



現状

まずは補強をすべきポジションはどこなのか、というのを洗い出すためチーム状況を見てみよう。

以下の図がライオンズの現状の戦力を表している。

この図から分かるようにライオンズの強みは

①捕手
②ショート
③ファースト
④セカンド 

である。

逆に弱みなのが

①先発
②リリーフ
③外野全部

である。

ツイッターなどのネット上では源田選手はともかく森・山川・外崎選手の起用に不満を持っている人が見られるが、数値上彼らはきちんと責務を果たしている。

確かに山川・外崎選手は特に期待された成績よりもよくはないかもしれないがチームの強みとなっていることはきちんと把握しておきたい。

逆に3本柱などでマシになったと思われている先発は、むしろ昨年よりも悪化してしまっている。

以下が昨年との戦力比較である。

これはその3本柱の成績が見た目ほどよくはない(運がよい・守備に助けられている)こと、
それに何より今年はかなり打低のシーズンであることが効いている。

違反球が撤去された2013年以降では最もパリーグ全体のOPSが低く、投手は見た目よりも下に見る必要があるのだ(逆に野手は見た目よりも上に見る必要がある)。

このため投手は完全に穴であり、1人や2人補強した程度では好転しない状況であるという認識が必要だ。

また、実は投手よりも外野の方が悲惨である。

3ポジション合計で-90というとんでもないマイナスであり、森・源田選手が稼いだプラスをすべて吐き出してしまっている。

川越・岸選手など新戦力が台頭してきているのは事実だが、残念ながらまるで足りていないというのが現状だ。

特にレフトが昨年と比較しても悲惨的なまでに数字を落としており、スパンジェンバーグ選手の離脱の影響が大きかったと思われる。

それにもかかわらず、ドラフトでの野手指名はよりによって捕手とショートというチームの強みともろ被りなのは大変いただけない点だった。

チームの得失点差は-68であり、借金は15個とほぼ妥当な結果として表れている。
(得失点差を5で割るとチームの貯金・借金数になる)

基本的に勝率.500のチームは得失点差が±0のチームなので、今のライオンズは約70得点の上乗せが必要である。

さらに優勝を目指すなら得失点差は+100(貯金20)が目途となるので+170点もの改善が必要だ。

勝率.500にするなら投手・外野どちらかの穴が完全に埋まる必要があり、優勝を目指すならば両方とも埋める必要がある。

さすがにいきなり優勝争いをするというのは現実的ではないので、まずは勝率.500のチームを作るための方策を考えていくことが肝要だろう。

一応今年のヤクルト(2020 -121→ 2021+96)という前例もあるが、めったにあることではないので+70点をどうすればいいのかというところから考えていきたい。

次の項目からはその+70点を作るための方策を「今オフにすべきこと」として述べていく。

今オフにすべきこと

①森選手の複数年契約

まず大前提としてするべきことが森選手の残留だ。

一応ドラフトで大学NO.1ともいわれる古賀選手を獲得したが、大学時代の成績からは大幅なプラスでチームの強みとなるよりは弱みにならない選手のように思える。

もし仮に森選手がいなくなった場合得失点差+40が消えることになるので借金が25個にまで膨らむ可能性が高い。

そうなると勝率.500にするためには投手と外野のどちらの穴も埋まってやっと到達できる果てしない遠い目標になってしまう。

今後優勝を目指すだけでなく、Aクラスに入るためにも森選手の存在は必須なのだ。

特に森選手の場合はまだ26歳と大変若く、あと5年は捕手として大幅なプラスを残してくれる可能性が非常に高い。

実際に正捕手に定着してから記録したWAR(どれだけ勝利数を増やしたかを表す指標)では

2018 3.5
2019 7.8
2020 2.6
2021 7.0 を記録

(データはhttps://1point02.jp/op/index.aspx)

WAR5を記録できる選手は両リーグで10人といないのに対し平均で5.2を記録するなど破格の成績を残している。

仮に1WAR=1億円と考えたとしたら単年5億でも十分に元が取れる選手なのだ。

昨年山田哲人選手が7年40億という破格も破格の契約をしたが、森選手にも負けず劣らずの8年40億を提示しても問題はないといえるだろう。

確かに契約後半には少し劣化してしまう危険性はあるが森選手は打撃に優れた選手である。

打撃は守備よりも劣化しにくいことや外野の経験もあることから、ある程度起用に幅を持たせることができることも超大型複数年契約を結ぶには大きなメリットになるだろう。

真面目な話、森選手が仮に移籍するならチームとして70年代のような暗黒期(Aクラス1回Bクラス9回最下位6回)に入る可能性が非常に高くなる。

あくまで純粋な数値遊びだが、計算上森選手はいなくなった場合今年の勝数は40勝台と弱小球団の数値になってしまう。

チームの浮沈を左右する瀬戸際にいるという意識は球団の方でも持っていて欲しいところだ。

②投手と外野の外国人選手の補強

外国人外野手が欲しい根拠

次に行って欲しいことは外国人選手の補強だ。

特に投手に関しては言わずもがなだが外野手の補強も絶対に行っておきたい。

外野手に関しては「一応若手の数はいるじゃん」と思っている方もいると思うが若手だけでは足りないと思える根拠は多い。

まず1軍成績が物足りない。

今年外野で起用された時の若手選手のOPSは以下の通りである。

川越 OPS.572
岸岸 OPS.596
呉呉 OPS.492 (全体だと.658)
若林 OPS.733
愛斗 OPS.646

若林選手以外平均に到達せず、しかも愛斗選手以外守備がマイナスである。

ライオンズで打撃で大幅なプラスを作った選手は

中村・栗山・中島・浅村・秋山・森・外崎・山川と数多いが、そのうち全員が覚醒前にプラスな成績を残していた。

中村 2007 OPS.710
栗山 2007 OPS.780
中島 2003 OPS.776
浅村 2012 OPS.683 (低反発球)
秋山 2014 OPS.716
森森 2014 OPS.945
外崎 2017 OPS.706
山川 2016 OPS.925

この水準(OPS.700)をクリアしているのは若林選手だけであり、しかもケガ明けということを考えると大きな期待は少し難しい。

他にも鈴木将平選手や高木渉選手もいるが2軍成績にしても物足りない。

上記の1軍主力選手の1軍に定着する前の2軍成績は

中村 2004 OPS.996 (高卒3年目)
栗山 2004 OPS.980 (高卒3年目)
中島 2003 OPS.887 (高卒3年目)
浅村 2010 OPS.725 (高卒2年目)
秋山 2011 OPS 1.104 (大卒1年目・低反発球)
森森 2014 OPS.901 (高卒1年目)
外崎 2016 OPS.938 (大卒2年目)
山川 2016 OPS1.066 (大卒3年目)

とほとんどがOPS.900の水準を突破しているほか3年目以内に結果を残している。

また、超えていない選手も高卒3年目以内とかなり猶予がある。

対して今年の主要野手の2軍成績は

川越 OPS.889 (大卒6年目)
岸岸 OPS.562 (大卒3年目の年齢)
呉呉 OPS 1.081 (大卒6年目)
愛斗 OPS 1.206 (高卒6年目)
鈴木 OPS.837 (高卒5年目)
高木 OPS.799 (高卒4年目)
ブラ OPS.842 (大卒1年目)
渡部 OPS.772 (大卒1年目)
西川 OPS.707 (高卒4年目)
柘植 OPS 1.067 (社卒2年目)

と先に述べた3年目以内でOPS.900以上というのを達成している選手が打席数の少ない柘植選手のみである。

OPS.900に近い水準、もしくはそれ以上の成績を残している選手は川越・愛斗・呉選手がいるものの2人が大卒の選手でやや年齢が高い。

一般に28歳というのは野手の最盛期であることが多く、上積みを期待するのはやや難しい年齢に差し掛かっている。

また、ファンからの期待も大きい鈴木・高木・西川選手はまだまだ物足りず、先のレギュラー陣を見ても来年即レギュラー定着というのは考えにくい。

このように1軍成績と2軍成績から来年の覚醒枠・定着枠の選手が少なく、3枠埋まっていないというのが外野陣の現状である。

定着枠の選手がそのポジションで+15
覚醒枠の選手がそのポジションで+30 を稼ぐ

と考えると、それを期待できるのは今のところ愛斗選手のみで残り2枠が埋まらなそうというのがシビアな現状である。

このため外国人選手の補強というのは是が非でも欲しいのだ。

センターを守れる選手というのは発掘が難しいので両翼を守れ、なおかつ打てる選手が望ましい。

できることなら山川選手に奮起を促す意味でもファーストも守れるような選手を獲得できるとなおよいだろう。

想定獲得

想定としては投手2人・野手2人ずつ獲得するのが理想的だ。

野手は外野を2人獲得し、両翼で-60点となっているところを-20点にまで減らすことが目標になる。

そのうえで愛斗選手がセンターで定着してくれれば±0まで期待できるので外野のマイナスをほとんど消すことができるだろう。

そのためにも変にユーティリティプレイヤーを獲得せず、打撃がよい選手を獲得したい。

ヘルマン選手を除き、ランサム・セラセリ・スピリー・スパンジェンバーグ選手と言ったユーティリティ性の高い(もしくは守備がよい)選手を多く獲得してきた。

ただ結局のところ大きな貢献ができた打撃全振りといえるメヒア選手(初年度・3年目)のみで、他の球団を見てもユーティリティ性の高い外国人選手はなかなか活躍出来ていない。

打撃・守備両面で貢献できているのはロッテのマーティン選手ぐらいと成功率はかなり低いので素直に打力全振りの選手を獲得したいところだ。

横浜のオースティン選手ほどではないがヤクルトのサンタナ選手ほどの成績でもチームにとっては貯金8個分の価値がある。

2名ほど獲得してどちらかでも当たればという体制を整えていきたい。

変に栗山選手や若手に忖度すると来年も致命的ともいえるマイナスを出しかねないため編成としてはシビアな判断が求められる。


投手に関してはギャレット選手と平良選手次第である程度柔軟に対応したい。

一例としては

ギャレット選手が残留し、平良選手が救援の場合
→先発の枚数が足りないので2人先発(1人は左腕)を獲得する

ギャレット選手が残留し、平良選手が先発の場合
→救援左腕はいるので先発は左腕を、救援は右腕の選手を獲得する

ギャレット選手が残留せず、平良選手が救援の場合
→2人先発(1人は左腕)、救援に1人

ギャレット選手が残留せず、平良選手が先発の場合
→先発左腕を獲得、救援に2人

というようにして対応したい。

そのためにも平良選手を翌年どのポジションで起用するのかを早いうちに決めておきたいところだ。

平良選手は手術をしたとのことだったが足首なため、そこまで心配はしなくてよいだろう。

③投手全体の改革

最後に投手全体の改革について述べていく。

ライオンズ全体の課題としてあげられるのが対左への弱さだ。

被OPSを見てみると()内は平均

対右 .685(.697)
対左 .774(.701)

と対右は平均並みに抑えられているにもかかわらず対左にはフルぽっこである。

球種ごとの被OPSを見ると

ストレート.892(.779)
スライダー.609(.632)
カット  .639(.700)
カーブ  .862(.643)
フォーク .584(.527)
チェンジアップ .756(.693)
シンカー .762(.585)
シュート .959(.777)

と特に直球系とカーブをひっぱたかれている。

そのため単純に考えればこの2球種の改善ができれば平均並みには抑えられるはずである。

それでは平均と比較してどのあたりに投げ、そしてどのあたりで打たれているのかを確認してみよう。

以下の図はマップデータとスイングデータが平均と比較したもので赤い所ほどそのイベントが多いことを示す。

まず直球を確認すると明らかにアウトハイへの球が多く、アウトロー近辺への投球が少ないことがわかる。

合わせて長打データを見ると真ん中高めとアウトハイは非常にリスクが高い反面低めは大変リスクが低いことが確認された。

これらを合わせると単純に相手が長打を打ちにくいアウトロー近辺に球を集められていないために被OPSが高まってしまっているといえる。

スイング率を見ても相手はアウトロー近辺は捨てそのやや上のゾーンから狙いを定めていると言え、アウトロー近辺に投げれないことが相手のアプローチのしやすさにつながってしまっている可能性がある。

このため投手陣全体で低めに直球を集めるというある意味当たり前のことをしっかりできるようにする必要があるといえる。

高めのボール球を振らせる力自体はあるのでいかに高低のメリハリをつけた投球を行うかが鍵になるだろう。

次にカーブを見ていこう。

カーブはマップ比較データを見ると低めのボールゾーンに投げこめる回数が少なく、空振りを奪えていない。

加えて言えばアウトハイ付近にぬける球も目立ちきちんと投げ切れていないというのが現状だ。

カーブを多く投げる投手は髙橋光成・今井・松本・渡邉選手らがいるがいづれも使いきれていない。

球種を減らすことによるマイナスの効果は思っているよりも小さいという報告もあるのでいっそのこと封印し既存の球(特に直球)を強化するという道も模索するべきだろう。


また、球種の改善のほかに「大胆なストライク」という理念を投手陣全体に落とし込みたい。

大胆なストライクというのはその名の通り、ど真ん中でもいいからゾーンに投げようという理論だ。

今までの研究で最も失点を防ぐ球は、1番はもちろんゾーンぎりぎりの球である。

しかし次に失点を防ぐのは真ん中付近の甘い球で下手にボール球を投げるよりもはるかに失点を防ぐことができる。

実際にこれを実行していた2017年はゾーンに投げる割合が12球団の中で最も高く、与四球率もリーグ最低だった。

このとき平均を超えた投手陣だったのは菊池雄星選手が無双していただけが要因ではなく、他の投手の働きもあってこそだっただろう。

今の投手陣はゾーンに投げる割合が平均より2.5%も低く、これを平均に戻すだけで30点ほどの改善が期待できる。

つまりは投手陣のマイナスを半分にすることも可能なのだ。

球威の問題もあるためそう簡単な問題ではないのは承知しているが、もう少し気楽にストライクを取りに行くという行為を推進していくべきだろう。

まとめ

以上のことを簡潔にまとめると、今オフにすべきことは

①森選手に複数年契約をして強みを残す
②外野と投手の外国人選手を補強しそれぞれで平均並みになるように善処する
③そもそも投手陣全体で左に打たれすぎなので直球やカーブの改善を始めとして、さらにストライクを取るという行為をもう少し意識するようにする

である。

現状ライオンズの戦力はパリーグワーストで、さらに多くの主力のFAが迫っている。

ここで舵取りを誤ると長期的な暗黒期に入ってしまう可能性が非常に高くなってしまう。

今オフはそういう意味では大変重要な局面で在り、渡辺GMを始め球団としての姿勢が問われるものになるだろう。

やはり応援している身としては強いチームの方がいいのでうまいかじ取りを期待したいところだ。

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