【データ考察】ドラフトには最適な指名順位が存在した!? データから最適なドラフト会議を考察する

2021年10月11日プロ野球考察データ分析,ドラフト,ドラフト会議,野球 データ分析

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多くの夢と戦略が交差するドラフト会議まであと3週間と少しとなりました。
(今年のドラフト会議は10月11日(月))

そろそろファンの中でもドラフトに関して情報収集がしたいという人も多くなるのではないでしょうか。

私のツイッターでもドラフトに関しての質問を多くいただくようになり、私の中でも考えをまとめてみたいと思いドラフト会議について色々と調べているうちに大変面白いことがわかりました。

私はこれをドラフト理論と名付け広めていきたいと考えています(笑)。

もしこの記事で「なるほど!!」と思ったり「それは違う」と感じた場合は遠慮なくコメントなどいただけると嬉しいです。

※この記事はあくまで統計的にデータから分かる事実に基づいて色々と考察していきます。
なので必ずしも理論から外れたからといって指名自体を批判するものではありません。
あくまでもこんな傾向があるという話です。またデータは2013年のドラフトからです(なので鈴木誠也選手や柳田選手は集計に入っていません)。

ドラフト理論

それでは早速「ドラフト理論」について解説していきます。

ドラフト理論とは私が勝手に命名したものですが、いかにしたらドラフトで勝ち組になれるかというのを数値的に分析したものになります。

具体的には何位でどの年代の選手を、そしてどのポジションの選手を指名するのが理論的に期待値が高くなるかというものになります。

論よりまずは図を見ていきましょう。以下の図を見てください。

2つの図はhttps://data-cafe.com/pro/draft1.htmより引用

これは年齢別の平均打席と平均投球回になります。

平均打席の方は高校生の成績が順当に伸び、大学生・社会人と変わらないだけ打席に立てていることがわかります。

反面投球回は大学生と社会人の加入から高校生の割合が大きく減り、大学生と社会人が多くの投球回を取ることがわかります。

引用したサイトでも結論付けられていましたが、

投手は多くのフィルターがかかる大学・社会人の選手の方が確実性の高い指名ができる

・野手は高校生の段階である程度確実性の高い指名ができる 


つまりスカウトの人も野手より投手の方がガバく、若くなるほどそれが顕著になるということが言えそうです。

高校生の投手を獲得するということ(それも上位で)はかなりリスクの高い行為と言えます。

ここまででなんとなくドラフト指名の傾向についてはわかってきたでしょうか?

ここからはそれぞれの順位で獲得するべき年齢の選手(つまり高校生か大学生か社会人か)はどの年齢の選手かを分析していきます。まずは野手の指名についてです。

野手の指名の理論

こちらを見てください。

縦軸が1人当たりのWAR 横軸が順位 データはhttps://1point02.jp/op/index.aspxより引用
※WARとは…選手の貢献度を打撃・守備・走塁・投球のすべてから計ったもの 高い方がよい

取っているデータが8年前からなので高校生にとって不利なのは間違いないですが、
基本的に大学生や社会人の方が優秀な成績を残しやすいようです。

僅かに山のある4位までは指名してもいいかもしれません(実際上林選手などがいる)が5位以下は高校生野手を指名するのは避けたほうがよさそうです。

実際にここ8年間の下位指名選手(5位以下)で活躍できたのは
・井上選手(ロッテ・社会人・5位)
・杉本選手(オリックス・社会人・10位)
・阿部選手(中日・社会人・5位)
・糸原選手(阪神・社会人・5位)
・西野選手(オリックス・社会人・7位)
・佐野選手(横浜・大学生・9位)
・西川選手(広島・社会人・5位)

とほとんどが社会人の選手しかおらず

高校生野手の下位指名の成功はかなり難しい

といえます。

元々野手の方が高校生で指名されやすくその中から残った選手を指名するより年齢で避けられた選手の方がポテンシャル自体はあるということなのかもしれません。

大学生も5位以下はかなり成功例が少なく、なぜか余ってしまった選手を指名する以外は避けるべきでしょう。

これらからドラフト理論として野手は
基本的に主力とする選手は4位までに獲得すること 
5位以下で欲しいならできるだけ社会人の選手を獲得
という風にまとめられます。

それぞれの年齢ごとにまとめると

高校生ー
1位に推せる選手がいるなら1位で 
最低限4位までに指名すること 
5位以下で指名は厳禁

大学生ー

高校生と同じ 
なるべく4位までに指名

社会人ー

比較的下位でも活躍する選手が多い 
上位では大学生・高校生を優先すべきだが指名自体はアリ

という法則があるといえます。

一般にペナントレースでは投手よりも野手の影響が大きいため、下位で投手を当て上位で野手を指名できる環境を作ることが大切と言えます。

特に野手は投手に比べ時間がかかる(野手が高いWARを記録するのは2~3年後からが多い)ので主力が元気だとなかなか指名する気にならず、投手に行ってしまうかもしれません。

しかしそのつけは数年後に確実に、ボディブローのように効いてきます。

野手は毎年上位4人のどこかでできれば2人ほどは毎年指名をするべきといえるかもしれません。

投手の指名の理論

それでは同じように投手の指名について見ていきます。下の図を見てください。

縦軸が1人当たりのWAR 横軸が順位

野手と異なる点はどの順位でもぼちぼち活躍する選手がいることです。

また野手と異なり高校生投手は下位の指名でも活躍する選手が多いです。
特に4位以下の指名は大学生・社会人に負けておらず、高校生が活躍しにくい区切り(最近8年の結果なので高校生は成長しきっていない選手も多い)であることを考慮すると
下位での高校生指名は思いのほか有望と言えます。

もちろん大学生と社会人も負けておらず、下位でも活躍できる選手は獲得できますから投手はなるべく上位がいいですが、下位でもそこまで問題がないといえます(社会人は4位以下が少し弱いですが)。

スカウトが野手よりもガバく、高校生になるほど顕著と最初に述べましたが実際にそれを反映する結果となっています。

野手と同じようにまとめて法則にすると

高校生ー
下位でも上位指名並みに活躍できる選手が多く、上位指名のリスクが高め

大学生ー

1位は大活躍が期待できるが他は割とどこで指名しても変わらないためどこでも指名できる

社会人ー

どこでも指名できるができれば3位以上で獲得したい

となります。

投手は野手よりも数が必要(投手はローテに6人・中継ぎ7人必要、野手はレギュラー9人そろえば十分戦える(例:2019西武))なため上位で高い稼働力の選手を獲得するのも手ではありますが、

下位で多く指名し数の確保をすることが大切なのかもしれません。


仮に理論通りに指名するなら…

以上の研究(?)結果からドラフト指名にはある程度法則があることがわかりました。
この法則に則って仮のドラフト指名を考えると以下のようになります。

1位 大学生or社会人投手or野手(どの年齢でもよいがやや高校生優先)
2位 大学生or社会人(よほどよければ高校生もあり)野手or1位で野手の場合は大学生or社会人投手
3位 大学生or社会人(バランス次第で高校生もあり)野手or大学生or社会人投手
4位 3位で指名しなかった方
5位 大学生投手or(必要なら)社会人野手
6位 高校生投手
7位 高校生or大学生投手

どうでしょう。なんとなくプロのやる指名に近いところがあると思います。
実際に現場でもここまで数値的に見ていない気はしますが感覚的に察しているところもあるのではと思います。

最初に述べましたがこれはあくまでも統計的にこんな傾向があるという話しであり、データも8年分と少ないです。

なのでこれが実用的かどうかは定かではありませんが、なんとなく従来の主張と異なる点もあってドラフト会議に対する知見は広がったんじゃないかなと思います(広がってくれてたら嬉しい)。

少なくとも巷で大失敗ドラフトと呼ばれる2014年の中日・ヤクルトの指名は理論的には悪くなかったといえます。
(中日は上位2位までを大卒社会人投手、3位から7位まで社会人野手、8・9位を投手)
(ヤクルトは3位以外投手で1位と2位で大卒社会人投手を指名、3位は高校生野手)

逆に指名直後は小関先生等が高評価した2014年から2016年までのソフトバンクの高卒ドラフト(特に野手を多く指名した2015年)は理論的にかなり悪手だったといえるでしょう(実際2014年2位の栗原選手以外少し伸び悩んでいる)。

もちろん理論通りにいかないのがドラフトの面白さであり魅力でもあると思います。
まだ高卒ドラフトの成果が出るのは先だとも思われますしね。

しかし同時に王道(理論)も持っておくとドラフトへの視点が増え、楽しみが増えるのでは思います。

一応これはライオンズのブログなので次回はライオンズのドラフト指名について議論しますが、他の球団のファンの方もこれを見て面白く感じていただけたら研究したものとして大変嬉しいです。


それではライオンズファンの方は流れで下の記事もみてください(笑)。 それでは(^O^)/バイバーイ

次回 ライオンズが指名したい選手(1位・2位)⇩
https://l-data-daily.com/blog/?p=154

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